あこや真珠(アコヤパール)とは?特徴や他の真珠との違い、お手入れの基本まで徹底解説
投稿日: 投稿者:GINZAREPEARL

ホワイトやクリーム色など柔らかな色を持つあこや真珠とは、真珠の中でもっともよく知られる存在です。上品な輝きは、冠婚葬祭から日常のファッションにも馴染み、身近なジュエリーでもあります。
本記事では、あこや真珠の特徴を以下の項目で解説しています。
記事を通し、世界中の人々から愛されるあこや真珠の魅力を知れば、本物のあこや真珠に触れたくなるでしょう。
あこや真珠(アコヤパール)とは?基本情報を解説
あこや真珠とは、「人魚の涙」「月のしずく」とも言われており、紀元前3200年前にはすでにエジプトに存在したと言われています。あこや真珠の特徴を以下4つから詳細に解説します。
- あこや真珠の母貝
- あこや真珠の産地
- あこや真珠の歴史的背景
- あこや真珠の石言葉
人々があこや真珠の美しさに触れ、その魅力を知るようになった背景には、真珠が持つ特徴や歴史が欠かせません。
最後まで見れば、あこや真珠の価値が高い理由を理解できます。
あこや真珠の母貝
あこや真珠は、ウグイスガイ目ウグイスガイ科に属するあこや貝より採取される真珠です。貝の中に砂や寄生虫などが混入し、吐き出されずにいると、貝の中で外套膜幕が異物を包み込みます。
やがて外套膜は真珠袋となり、カルシウムやたんぱく質の蓄積から真珠層を形成し、美しい真珠となります。
しかし、1つのあこや貝から1つの真珠のみ採取されること、入り込む異物により真珠の形状も変化することから、天然の真珠を宝飾品に用いることは困難です。
また、天然真珠は大粒になるまでに10年以上かかることも少なくなく、良質な真珠を多く採取できません。天然真珠が見つかる確率は、わずか1000分の1と極めて稀です。
このため、市場に出回っている真珠は養殖されたものとなります。
あこや真珠の産地
日本を代表する真珠の産地は、愛媛県、三重県、長崎県の三か所です。生産量では長崎県がトップですが、日本初の真珠専門店・ミキモトの養殖場があることから、三重県も産地としてよく知られています。
真珠の生産量トップの長崎県では、令和4年の時点で年間5,200キロを生産しています。対馬・壱岐で採取される真珠は「対馬真珠」と名付けられ、淡いピンクやクリーム色の高品質なものが多くみられます。
愛媛県の宇和島は、波が穏やかなリアス式海岸が特徴です。真珠の年間生産量が4,400キロと長崎に次いで多く、あこや真珠の代表的な生産地です。白やクリーム色などの良質な真珠が採取されることから、人気が高い産地でもあります。
三重県は年間生産量が2800キロと三番手ですが、伊勢志摩にミキモトの養殖場があることから、世界的な真珠の産地で有名です。光の加減により淡いピンクやグリーンの真珠も採取され、その品質の良さは「世界一の真珠」と呼ばれるほど。
また、鳥羽湾内に浮かぶ真珠嶋には、ミキモトが経営するレジャー施設や博物館があり、数多くの観光客が訪れます。
あこや真珠の歴史的背景
あこや真珠は、1893年にミキモト創業者・御木本幸吉が世界初の養殖に成功したことで、歴史の転換を迎えました。
天然のあこや真珠が見つかる確率は、貝1,000個に対し1個以下の割合とされます。希少性の高さから高額で取引され、一部の富裕層のみが身に着けられるものでした。
また、真珠の採取を目当てに貝の乱獲も生じ、真珠を巡る懸念もありました。
御木本幸吉は、あこや貝に人工的な核入れを行い、半円真珠の養殖に成功。その後、深淵真珠や黒蝶真珠の養殖も成功させます。
快挙に驚いた海外から偽物を疑われ、1921年には真贋を見極める「パリ真珠裁判」も行われましたが、本物と認められています。
この裁判をきっかけに、ミキモトの名前と養殖真珠の存在は世界中に広がり、あこや真珠の人気も高まりを見せたのです。世界中で製作される美しいあこや真珠のアクセサリーは、日本のミキモトの活動があってこその存在です。
現在も養殖方法は進化を遂げており、天然のあこや真珠の形成に10年かかるのに対し、養殖の真珠は1~3年と時間の短縮にも成功しています。
あこや真珠の石言葉
あこや真珠には、4つの石言葉があります。
- 健康
- 円満
- 長寿
- 富
天然のあこや真珠は、姿を現すまでに長い時間がかかる宝石です。海の中で起きる危険に耐えて育まれるあこや真珠には、強いパワーが宿ると信じられてきました。
健康や円満を意味するのは、このような背景を持つためでしょう。
大きな真珠になるまでには、天然の真珠だと10年以上の歳月が必要とされるため、「長寿」の意味も備えています。
また、あこや真珠の形成には幾重にも重なる真珠層が欠かせません。真珠層の厚さが固さへと転じ、「確固たる富を築く」という意味にもつながります。
あこや真珠の特徴とは?5つのポイント別で解説
あこや真珠の美しさは、5つの項目により評価されます。
- 巻き(真珠層の厚み)
- 照り(輝き・光沢)
- 実体色・干渉色)
- 大きさ
- 形
あこや真珠の評価は、国内における真珠鑑定機関により、上記5つの項目により決定されます。
各項目の内容を掘り下げれば、質の良いあこや真珠の評価基準が明確になります。最後まで見れば、より上質なあこや真珠選びに役立つでしょう。
巻き(真珠層の厚み)
「巻き」とは、真珠層の厚みを指す用語です。あこや真珠は、あこや貝に入り込んだ異物に真珠層が重なることにより、柔らかく優しいつやをまといます。
養殖真珠では、あこや貝に人の手で「核」と呼ばれる異物を挿入し、1~3年に及ぶ真珠層の形成を待って浜揚げが行われます。
核を中心に、巻きが0.6ミリ以上の厚いものは「厚巻き」と呼ばれ、乳白色に深みのある輝きを持つことが特徴です。一般的には0.3~0.4mmの巻きが多く、0.25~0.3mmのものは「薄巻き」と言い、真珠の照りが薄く魅力に欠ける真珠と判断されます。
また、厚さに加えて以下の3つのポイントを満たすことが、上質な巻きの条件です。
- 真珠層が持つ透明度の高さ
- 真珠層の密度が高いこと
- 結晶が規則正しく並んでいること
特に透明度は、厚巻きであるほど実現性が低くなる傾向があり、真珠層の密度によっては薄巻きの方が美しく見えることもあります。
照り(輝き・光沢)
「照り」は、真珠に反射される光の強さを指します。照りが強いほど真珠の光沢も増すため、質を決める上で重要なポイントです。
真珠に光を当てると、幾重にも重なった真珠層の中で反射が起き、光沢となって表面に現れます。真珠層の密度や透明度が高く、結晶が規則的である真珠ほど反射が強く、美しい光となり表面に強い光沢を放ちます。
まるで真珠の内部から光を発し、覗きこめば自分の顔が映るような存在感が、上質な照りの条件です。
照りが弱い真珠は輝きがぼんやりと淡く平面的な輝きとなり、光沢に力強さがみられません。照りの美しさは巻きの厚さや透明度に加え、傷の有無や円の状態も影響され、多くの条件が揃ってこそ実現できるものです。
色(実体色・干渉色)
「実体色」は真珠そのものが持つ色、「干渉色」は光を当てた反射から生まれる色です。
一般的に、あこや真珠はイエローを帯びたホワイトやクリームの実体色が多く、真珠層が重なる過程で異物が混入した場合に、グレーやブルーが強く現れます。その中で、実体色がホワイトのものの一部は、光を当てたときのみグリーンを帯びることがあり、グリーンカラーの真珠と判断されます。
あこや真珠に多いピンクカラーの種類は、以下の3つです。
- ピンクの実体色を持つもの
- 干渉色からピンクに見えるもの
- エンハンスメントと呼ばれる調色を施したもの
エンハンスメントとは、宝石の良さをさらに引き出すための加工を指します。宝石が持つ美しさを最大限に発揮する技術として、宝飾界で用いられている処理です。
実体色と干渉色の複雑な絡み合いにより、真珠の美しさも一層深みを増し、真珠が持つ個性が際立ちます。
大きさ
あこや真珠の大きさは印象に直結し、持つ人の好みがもっとも強く反映される個性でもあります。あこや真珠の大きさは、7~8mmが標準的とされ、市場に多く流通する真珠もこの大きさです。
7~8mmの大きさのあこや真珠が多く作られる理由は、生産工程の問題に起因します。
養殖真珠の場合、真珠の大きさを決めるのは貝に挿入する核のサイズです。大きな真珠を作るときは大きな核を、小さな真珠を作るときは小さな核を挿入して大きさを定めます。
サイズが大きな真珠ほど高額で取引されますが、大きな核の挿入は貝への負担が大きく、衰弱や死を招くため高い技術が求められます。
一方で、小粒の真珠は高値の取引が期待できないため、国産養殖のあこや真珠は7~8mmのものが大半です。特に9mm以上のものは養殖が難しく、希少性が高い真珠として高額取引がされます。
形
あこや真珠は真円(ラウンド)のものが特に価値が高く、高額で取引されます。一方で、真珠層を形成する過程で完全な円形に育つとは限らず、さまざまな形が存在します。
良く見られる形状は以下の6つです。
- ラウンド
- ニアラウンド
- バロック
- オーバル
- ボタン(シェイプ)
- ドロップ
「ニアラウンド」は、ラウンドに近く歪みがある真珠です。歪みが楕円に近く、縦横の直系の差異があるものは「オーバル」と呼ばれ、変形し歪みが強いものは「バロック」と名付けられています。
どれも過去には価値が低い真珠とされてきました。
しかし、近年は「歪みに天然真珠の趣を感じる」「ナチュラルでカジュアル」と評価が高まり、アクセサリーに用いられることが増えています。
「ボタン」は球体を上から潰したような形状をしており、イヤリングやブローチに多く使用される形です。同じくイヤリングに多く使われる「ドロップ」は、しずく型の形を描き、ラウンドより高く取引されることもあります。
あこや真珠と本真珠の違い
本真珠とは、本物の真珠を指す総称です。本真珠の一種があこや真珠であり、他にも以下のような種類があります。
- 南洋真珠
- 淡水真珠
- 天然真珠
- 花珠真珠
養殖の場合でも、貝の中で育まれた本物の真珠であれば、すべて本真珠の一種という考え方になります。ガラス製やプラスチック製など、人の手で人工的に作られた真珠はイミテーションとなり、本真珠には含まれません。
あこや真珠の価値はどれくらい?2つのグレードを解説
あこや真珠の中でも特に質がよく、ハイグレードに位置するものは2つの種類に分類されます。
- 花珠真珠
- オーロラ花珠真珠
真珠には、ダイヤモンドにおける4Cのような共通したグレードは存在しません。真珠のグレードを決定するのは、各鑑定機関で定められた独自の鑑別基準です。
国内であれば、「真珠総合研究所」「真珠科学研究所」が信頼のおける鑑定機関です。鑑別書もこの2カ所以外は信頼性が低いとされます。
購入の際には、必ずどちらかの機関の記載があることを確認しましょう。
また、真珠総合研究所は専門家が知識を駆使して鑑定するのに対し、真珠科学研究所は科学的な数値を用いて鑑定を行います。このため、同じ真珠でも鑑別の結果が異なるケースもあります。
鑑別書に記載される鑑別結果は真珠の品質であり、価値を測るものではない点にも注意が必要です。
花珠真珠
花珠真珠とは、あこや真珠の中で巻き・照り・傷・形・色の5項目を高いレベルで満たし、鑑別機関において「花珠真珠」と認定されたものを指します。古くより真珠養殖業者や関係者は、浜揚げされた真珠から特別に美しいものを「花珠」と呼び、その伝統が真珠のランクとして定着しました。
真珠総合研究所では、特に巻き・照り・傷の3項目を重視し、ネックレスの連相の美しさなども評価基準としています。
出典:真珠総合研究所
なお、あこや真珠と花珠真珠の違いは以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
アコヤ真珠と花珠真珠の違いを4つのポイント別に解説!価格相場や寿命も紹介
オーロラ花珠真珠
オーロラ花珠真珠は、真珠科学研究所が最高ランクのあこや真珠に認定する品質基準です。照りの干渉色を最重視した上で、サイズ6mm以上・巻き0.4mm以上の基準を満たすものに、「花珠」と名付けられます。
また、オーロラ花珠の中でも特に照りが美しいものを「オーロラ天女」とし、さらに高ランクなあこや真珠として評価しています。オーロラ天女とされるには、オーロラ花珠の条件をすべて満たした上で、オーロラビューアーで観察した際に、オーロラ効果が確認できることが条件です。
出典:真珠科学研究所
詳細は以下の記事で解説しているため、あわせてご確認ください。
オーロラ花珠真珠とは?天女との違いや最新価格相場、購入時のポイントを徹底解説
あこや真珠ジュエリーの種類と値段相場
ここでは、あこや真珠を用いたアクセサリーの種類について紹介します。あこや真珠が使用されるアクセサリーの種類は、主に以下の4種類です。
- ネックレス・ペンダント
- リング(指輪)
- ピアス・イヤリング
- ブローチ
あこや真珠を用いたアクセサリーの価格は、装飾に使われる金属の種類や、ブランドのランクによっても変動します。
最後まで見れば、あこや真珠を用いたアクセサリーの値段がわかり、予算の範囲で購入できるものを見つけられるでしょう。
ネックレス・ペンダント
あこや真珠を用いたネックレス・ペンダントの価格相場は以下のとおりです。
種類 |
価格相場 |
一粒真珠ネックレス (ダイヤモンドなし・約7mm) |
10,000~200,000円 |
一粒真珠ネックレス |
100.000~359,000円 |
一連パールネックレス |
59,800~3080000円 |
あこや真珠を用いたネックレスは、金属に18金ホワイトゴールドを用いたものは3万円台より購入が可能です。もう少し価格を抑えたい場合には、シルバー製を選ぶと1万円台から選べます。
ダイヤモンドを用いたものや、あこや真珠を多く連ねる一連パールネックレスだと、価格は一気に上昇します。特にミキモトやTASAKIはあこや真珠の質に強いこだわりを持つこと、デザイン製が高いことから、高額商品が多いです。
あこや真珠を用いたアクセサリーの中でも、一連真珠のネックレスは冠婚葬祭に使用できるため、より高い支持を集めています。長さは40~45cmがもっとも格調高いとされ、真珠の大きさは7~8mmの華美さを抑えたものがよく選ばれます。
大きさが1cmを越えると華やかな印象になり、入学式や結婚式など慶事に使用しやすくなる一方、弔辞には不向きとなるため注意が必要です。
リング(指輪)
あこや真珠を用いたリングの価格相場は以下のとおりです。
種類 |
価格相場 |
一粒真珠リング (ダイヤなし) |
14,000~50,0000円 |
パールリング (ファッション性が高いもの・ダイヤあり) |
49,000~4,169,000円 |
一粒真珠のみを使用したシンプルなデザインの指輪は、14,000円より購入が可能です。真珠のサイズが大きいほど高額になり、金属はプラチナを用いたものほど金額が上昇する傾向があります。
また、18金イエローゴールドやピンクゴールドを使用した指輪は華やかさが際立ち、カジュアルにパールを取り入れたい方に好まれます。
近年は、若い女性を中心にあこや真珠のファッションリングへの注目が熱を帯びています。特にミキモトやTASAKIは人気が高く、真珠を連にしてつなげたリングや、ダイヤを加えて華やかに装飾したリングが好まれるようになりました。
また、9mmの大きめな真珠や、真珠を連にしたリングも関心が高く、女性から憧れのリングとして支持を得ています。
ピアス・イヤリング
あこや真珠をあしらったピアス・イヤリングの価格相場は以下の通りです。
種類 |
価格相場 |
パールピアス・イヤリング |
5,000~1,900,000 |
あこや真珠を用いたイヤリングやピアスは、シンプルなものなら16,500円より購入できます。安価で購入しやすい小さめの真珠も、イヤリングやピアスであればシンプルになりすぎず、気品を添えられると人気です。
また、一粒真珠のイヤリングやピアスは、オフィスカジュアルに使用しやすい点も、女性からの指示が高い理由になります。
金属の中でも特に高額なのはプラチナです。プラチナはスタイリッシュな印象が強くなるため、柔らかな雰囲気を大切にする場合は、18金ホワイトゴールドがよく選ばれます。
イエローゴールドやピンクゴールドは、ファッション性の高さを重視したい女性に人気です。価格を抑えたい場合には、シルバー製を選ぶと数千円から購入が可能です。
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ブローチ
あこや真珠を用いたブローチの価格相場は以下の通りです。
種類 |
価格相場 |
パールブローチ |
14,000~1,430,000円 |
あこや真珠を用いたブローチは、1万円台から購入できます。ブローチはミキモトやTASAKIのようなハイブランドでも10万円以下のアイテムが揃い、質やデザインに優れたものを選びやすいアクセサリーのひとつです。
近年は、結婚式をはじめとする慶事に、コサージュよりも高級感があるブローチが選ばれることが増えました。宝石にパールを添えたものがよく選ばれ、煌びやかさに落ち着きをもたらすデザインが人気です。
価格を抑えたい場合には小さめのパールを選ぶと無理なく購入でき、エレガントな装いを楽しめるでしょう。
あこや真珠はどこで買う?おすすめ購入場所とブランドを紹介
あこや真珠のアクセサリーは、パールジュエリーを専門的に扱うミキモトやTASAKIでのご購入をおすすめします。ミキモトとTASAKIはあこや真珠の養殖から加工まで、すべての工程を自社で行うブランドです。
日本国内に養殖場を持ち、プロフェッショナルが採苗選びから核入れをおこない、厳しい基準での選別を実施しています。
扱う真珠の美しさや品質の高さに定評があり、常にモダンなデザインを追求し続けている点が、多くの顧客に支持される理由です。購入しやすい安価なアイテムも揃うため、初めて真珠のアクセサリーを手にする方にもおすすめです。
詳細は以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
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あこや真珠の模造品に注意!偽物を見抜く方法とは?
あこや真珠は、あらゆるブランドやショップで扱われています。しかし、プラスチックなど人工的に作られたものを、あこや真珠として紹介する悪質な場所も少なくありません。
あこや真珠の偽物には、以下の3点の特徴があります。
- 真珠の重さが軽い
- 表面がつるつるとしている
- 貝パールの表記
市場に流通しているあこや真珠は、ほとんどが養殖されたものです。養殖のあこや真珠には、ミシシッピー産のドブガイを用いた核が使用され、持つと重みを感じます。偽物は軽く、真珠にある重みを感じません。
また、表面がツルツルとしていて、高級感に欠けることも偽物の特徴です。
本物のあこや真珠と混同しやすいものとして、「貝パール」が存在します。貝パールは、核に使用する貝を用い、塗装などの加工を施した人工的なパールです。
あこや真珠に似ていますが、イミテーションなので「貝パール」「シェルパール」と表記されたものには注意が必要です。
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あこや真珠を長持ちさせるお手入れの基本
あこや真珠は、紫外線や湿気などの外的環境や、身につけた時の汗や皮脂により劣化が懸念されます。真珠を美しく保つために、以下の2点を日常的に行う必要があります。
- 使用後は柔らかい布で拭き取る
- 真珠が苦手とする環境に置かない
日常の中で使用する化粧品・ヘアケアアイテム・香水などは、あこや真珠の変色や退所を招きます。上記2点のお手入れを日常に取り入れ、真珠のケアをすることは重要です。
最後まで読めば、あこや真珠に必要なお手入れの方法を把握できます。
使用後は柔らかい布で拭き取る
あこや真珠のアクセサリーを使用後は、柔らかい布で汗や皮脂・汚れを拭きとることが必要です。日常の使用の範疇であれば、乾いた柔らかい布で拭くだけで十分です。
汗をたくさんかいた日は、真珠を一粒ずつ包み込むようにふき取ると、汚れを残しません。
汚れが酷い場合でも水洗いはせず、堅く絞った布で優しくふき取ります。あこや真珠には、加工段階で穴が空けられるため、水が入りこむと内部の質が低下する恐れがあります。
水で洗い流すのは避け、堅く絞った布で拭くことを心がけましょう。
拭くときに使用するのはジュエリー用のクロスをはじめ、柔らかい布を選ぶことが大切です。ティッシュは繊維が真珠の表面を傷つける可能性もあり、真珠のふき取りには向きません。
真珠が苦手とする環境に置かない
あこや真珠の主成分は炭酸カルシウムです。水・熱・酸に弱い特徴を持つため、置き場所に配慮する必要があります。
浴室付近をはじめ、湿気が多い場所にはおかず、程よい湿度を保てる環境に保管しましょう。乾燥しすぎも悪影響となり、ひび割れなどのトラブルを招きます。
また、たんぱく質を含むことから高温や紫外線にも弱く、変色の原因を作ります。必ず陽が当たらない場所、火の気がない場所への保管が必要です。
ジュエリーケースに収納して保管すれば、日常起きるダメージから真珠を保護しやすくなります。
あこや真珠の寿命|正しいお手入れで何年持つ?
あこや真珠を正しい方法でお手入れし続ければ、20~30年は美しい姿を保ちます。
あこや真珠は生物が生み出す有機質宝石であり、経年変化が起きる宝石です。無機質宝石に代表されるダイヤモンドのように、モース硬度が高く劣化しにくい宝石とは異なり、時間の経過とともに朽ちていきます。
しかし、日常のメンテナンスで劣化を防ぎ、真珠の美しさを長く保つことは可能です。
特にランクが高めのあこや真珠は長持ちしやすく、日々のお手入れ次第で美しい見た目の維持が期待できます。定期的に専門店のケアを取り入れ、より細やかなケアを取り入れることも寿命を延ばす鍵になります。
あこや真珠と他の真珠を比較
あこや真珠とは異なる個性・特徴を持つ本真珠には、以下の3つの種類が存在します。
- 黒蝶真珠
- 白蝶真珠
- 淡水真珠
3つの真珠はアコヤ真珠と比較して色やサイズ・生育に違いがあります。
上記3つの真珠が持つ個性を知れば、あこや真珠が持つ個性がより把握しやすくなり、どちらが良いかを判断できるでしょう。
黒蝶真珠
あこや真珠はあこや貝により育まれますが、黒蝶真珠は黒蝶貝(クロチョウガイ)から採取される真珠です。日本では、1914年代に沖縄県石垣島で養殖が開始されました。
現在は主にタヒチで養殖されています。
赤・青・黄が交じり合った実体色を持ち、濃度によりブラック系・グリーン系・ブラウン系の干渉色が見られます。特にピーコックグリーンの黒蝶真珠は価値が高く、光により赤と緑が入り混じる美しさは、他の真珠にはない特徴です。
色のバリエーションが非常に多く、個性豊かな真珠として愛されています。また、10mmを越える大きなサイズがあることも、あこや真珠と異なる点です。
白蝶真珠
アコヤ真珠は、ホワイトやクリーム色を帯びた柔らかな色彩が特徴ですが、白蝶真珠はゴールドやシルバーを帯びた煌びやかな色の真珠です。
白蝶貝(シロチョウガイ)より採取され、オーストラリアやインドネシアなど、海外の温暖な海で育まれます。この特徴から、「南洋真珠」とも呼ばれます。
白蝶貝の内側にゴールドの縁があれば金色を帯びた真珠が、縁がシルバーであれば銀色の真珠が育つ特性も、白蝶真珠に見られる特徴です。特に金色のものは「ゴールデンパール」とも呼ばれ、稀有な美しさから高く評価されます。
あこや真珠に比べて大きめであることも特徴であり、一般的なサイズは8~13mm、大きなもので20mmに達します。
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淡水真珠
真円を描くあこや真珠に対し、淡水真珠は楕円型を中心に様々な形が見られます。また、あこや真珠があこや貝から採取されるのに対し、淡水真珠はオケチョウ貝から採取され、養殖に核を必要としません。
一つの貝から様々なサイズ・形の真珠が採取されるため、バロックパールをはじめ「唯一無二の形を持つ真珠」が多いことも特徴です。
日本では琵琶湖で養殖が行われていますが、流通している淡水真珠の多くは中国産です。
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真珠を買うならあこや真珠を選ぶのがベスト?
最初に購入する真珠は、特にあこや真珠がベストです。あこや真珠は冠婚葬祭から日常のファッションにも使用でき、シーンに応じた使い方ができる真珠です。
黒蝶真珠や白蝶真珠は煌びやかな色が多く、大きさもあこや真珠より大きいため、冠婚葬祭には不向きです。
上品なホワイトやクリーム色は人を選ばず、どのような装いにも気品をプラスします。最初に購入するあこや真珠は、7mm程度の使いやすいサイズが推奨されます。
特に女性の場合、あこや真珠のパールネックレスを1本所持すれば、いざという日のアクセサリー選びに困りません。このため、親が成人の記念にプレゼントすることもあります。
あこや真珠に関するよくある4つの質問
あこや真珠に関するよくある質問は以下の4つです。
- アコヤ真珠一粒の値段はいくら?
- アコヤ真珠ネックレスの相場は?
- 南洋真珠とアコヤ真珠はどっちが高級?
- アコヤ真珠はなぜ高いの?
あこや真珠に関して詳しく解説をしてきましたが、まだ疑問を持つ人も多いでしょう。
ここでは「あこや真珠に関するよくある質問」を紹介し、回答とともに真珠への疑問を解説します。最後まで見れば、あこや真珠への理解がより深まります。
あこや真珠一粒の値段はいくら?
あこや真珠一粒あたりの価格は公開されていません。しかし、サイズが大きく真珠層が厚いもの・照りが美しいものほどランクが高く、高値で取引されます。
また、ミキモトやTASAKIは自社で真珠の養殖を行い、品質が良いものを厳選してアクセサリーに使用するため、全体的に扱う真珠はハイランクとなり価格も高額です。
アコヤ真珠ネックレスの相場は?
あこや真珠を用いたネックレスは、大きく分けて2つの種類があります。
- 一粒パールネックレス
- 一連パールネックレス
一粒アコヤ真珠ネックレスの価格相場は、大きさや照りの状態により1万円~20万円と幅広いです。チェーンに使用する金属の種類にも左右され、一般的にプラチナ製のチェーンが一番高く、安価なものはシルバー製です。
また、ダイヤモンドをはじめ、他のジュエリーと組み合わせたジュエリーも価格が上昇します。
一連パールネックレスは40~45cmのものが定番とされ、価格相場は5万円台から数百万円のものまでさまざまです。パールのランクにもよりますが、一般的に購入されやすいのは10万円~30万円台の商品です。
南洋真珠とアコヤ真珠はどっちが高級?
あこや真珠と南洋真珠を比較した場合、より高級とされるのは南洋真珠です。南洋真珠はあこや真珠に比べてサイズが大きく、ゴールドを帯びた豪奢な輝きが評価されます。
特にゴールデンパールの美しさは高く評価され、希少性の高さからより高額で取引される傾向があります。
なお、ゴールデンパールの価格は以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
ゴールデンパールの相場はいくら?ブランドやジュエリー別の価格から買取相場まで徹底解説
あこや真珠はなぜ高いの?
あこや真珠の価格は、以下の2つの理由により上昇傾向にあります。
- 2019年に起きたあこや貝の大量死
- 海外からの需要の高まり
2019年、真珠生産量全国1位の愛媛県にて、あこや貝の大量死が確認されました。2022年に原因が新型の感染症と特定されましたが、一時期の生産落ち込みの影響は回復しきれていません。
もう一つの理由は、海外での注目からあこや真珠の需要が高まり続けている点です。23年には約456億円の輸出額となり、1位のホタテ貝に次いで2位の輸出額を記録しました。
海外需要の高まりから、今後も価格の上昇が予想されます。
まとめ:あこや真珠とは日本を代表する真珠!一生もののジュエリーにぴったり
あこや真珠の柔らかな輝きは、冠婚葬祭をはじめ多くのシーンで活躍します。安いものは1万円前後で購入でき、お手入れを欠かさなければ一生にわたって使用することも可能です。
世界に存在する真珠の中でも、あこや真珠は顔立ちが優しい日本人によく似合い、美しさを引き立てます。柔和な美しさが身に着ける人の年齢を問わないことも、あこや真珠が持つ魅力のひとつです。
今回解説した特徴をチェックし、生涯をともにできるあこや真珠を見つけましょう。